糖質+プロテインで効率的な吸収を
トレーニング前の糖質摂取
筋肉トレーニングにしても心肺トレーニングにしても、体を動かすためにはエネルギーが必要です。そして、このエネルギーが不足する時、脂肪を分解してエネルギーに変えてくれればいいのですが、筋肉を分解してしまうこともあるのが悩みの種です。そもそも、エネルギー不足で運動するのは大変危険です。人間は生命活動を維持するだけでエネルギーを消費します。脳が働くためにもエネルギーは必要で、それは糖質に頼っています。生命活動をコントロールする司令塔がエネルギー不足に陥ったとしたらどうでしょう。最悪の場合、心臓麻痺などの命に係わる事態にならないともかぎりません。そうしたことを避けるため、運動前にはバナナなどのすぐにエネルギーに変わる食べ物を摂取するのを進められることがあります。これも運動で必要とされるエネルギーを得るために糖質を摂取しておくのが目的です。
トレーニング後の糖質摂取
「トレーニング後30分以内にプロテイン」という言葉はよく聞きます。これは筋トレで損傷を受けた筋肉の再合成はトレーニング直後から起こっており、この時間帯にタンパク質を補給してやることが筋肉の発達に効果があるからです。この時間帯をゴールデンタイムと呼ぶ人もいます。このトレーニング後30分というのは、実は遅すぎるという説やもっと遅くても効果は変わらないというひとまでいろいろですが、トレーニング後のタンパク質が筋肉づくりに効果的だという点では異論はないようです。
ところで、このトレーニング後のプロテイン摂取時に糖質を一緒に取るとプロテインの吸収が良くなるそうです。というのは、糖質を取った時に膵臓から出されるインスリンというホルモンがタンパク質を体に取り込む手助けをするかららしいのです。
インスリンの働き
そもそもインスリンはどのような働きをするものなのでしょうか。食事で摂取した炭水化物は唾液や胃や腸で分解されブドウ糖になります。このブドウ糖が血液に乗って全身に運ばれ、それぞれの細胞でエネルギーとして利用されるのです。そして、この糖をエネルギーとして取り込んだり、脂肪や筋肉に蓄えたりする働きをしているのがインスリンです。インスリンが糖の取り込み役をしているおかげで血液中の血糖値は食後一時的に上昇してもしばらくすると元に戻ります。
さて、このインスリン、糖の取り込み役だけではなく、タンパク質の取り込み役でもあるのです。そこで、運動後にプロテイン単体ではなく、糖質といっしょに取った方が、インスリンが分泌されるので有利です。糖質摂取で血糖値を上げ、その血糖値に反応して分泌されたインスリンの力を借りてタンパク質も取り込もうという作戦です。
実際、糖尿病を患った方は身に染みていることでしょうが、唐揚げやステーキを食べても血糖値は上がりませんが、ご飯を少し食べるだけで血糖値は跳ね上がります。つまり、タンパク質のみを取っていてもインスリンは出てこないことになります。せっかく摂取したプロテインなので、うまく糖質と組み合わせて、しっかり吸収したいですね。